軽井沢町の今までとこれから

軽井沢町の今までとこれから

令和4年10月(2022年)
藤 巻 進


 2023年に日本で開催されるG7サミットの外相会合が軽井沢町で開催されます。2016年の「G7 交通大臣会合」、2019年の「G20環境とエネルギー会合」に次ぐ国際会議の開催です。
誘致にあたって政府関係者との懇談では、軽井沢町への大きな期待と信頼の声が寄せられました。会議 場所として軽井沢町の名が出れば、誰も異論を挟む人がいないとも聞きました。これが、私たちの 住む軽井沢町なのです。この素晴らしい町を、さらに磨き住み易い町にしてまいります。


◇軽井沢町の底力

 日本のほとんどの地方都市は人口減少で苦しんでいます。限界集落と言われる、町や村の運営 が難しい自治体も出つつあります。その中にあって、軽井沢町は人口が増加するという大変に稀な 自治体です。過去、この町にも大きな波が押し寄せることもありました。バブルやタレントショップの進 出等々です。その都度、「軽井沢町がダメになってしまう」などの言葉がよく聞かれましたが、そん な心配をよそに、軽井沢町はビクともしませんでした。それは、この町の持つ、幅の広さと奥行きの深さ、そして多様性の力です。


◇人口増加はしても

 令和に入ってからの4年間で約1000人の人口増加です。新しく住まわれる方々は、キャンプに 来ているわけではありませんので、当然、家を建てます。樹木が生えていれば、その場所は伐採 されますが、ほとんどは軽井沢町の自然保護対策要綱を遵守していただいていますので、工事時 は別として、時間が経過すれば庭の樹木も育ち、軽井沢らしい風景をつくり出しています。軽井沢 町は政策として人口増加策も抑制策も行ってきませんでしたが、先人の努力によって現在の軽井沢 町がつくられ、そこに魅力を感じて、移り住まわれるわけですので歓迎の言葉しかありません。ただ、 人工物が多くなると心配される方もおりますので、自然保護対策要綱の一部見直しを含めて、環境 保全のためにどのようなことが出来るか検討しています。


◇最近の町の傾向

 最近の嬉しい現象は、今まで空き家であった建物がリフォームされ、店舗等に生まれ変わってい ます。土地需要が高まれば、新しい所有者が見つかり、使用されるというパターンです。土地利用 の高度化が進みます。また、経済振興も大きな要因です。人間の体と同様に、血液が循環しなけ れば手や足の細胞が壊死していくように、都市も経済が回らなければ、荒れる一方となります。負 のスパイラル(連鎖的な変動)になってしまいます。


◇大きな課題は「地球環境問題」と「少子化問題」

 ①地球環境問題
 地球環境問題は世界的な大問題ですが、一人から始めることです。大きく捉えて小さく実行です。軽井沢町では、2050年に CO2排出ゼロを目指しています。簡単なことではありませんが、達成し なければなりません。毎年、各地を襲う異常気象を見ればわかるように、このまま放置すれば、もと に戻れなくなると言われています。責任世代として、そんな地球を孫子に渡すわけにはいきません。 CO2排出というと、工業部門である自動車や航空機、また工場などに目が行きがちですが、農業分 野も地球温暖化の原因であることが分かってきました。土壌に生息する微生物が排出する一酸化 二窒素(N2O)は、CO2の300倍の温暖化効果と言われています。[出典-世界食糧危機(日経プ レミアシリーズ)】
 近年、カーボンファーミングという環境再生型農業も脚光を浴びるようになってきました。大気中の CO2を土壌に取り込んで、農地の土壌の質を向上させ温室効果ガスの排出削減を目指す農法です。 土中にいる微生物を活性化させ、農業に役立てる方法です。今までの農法と異なりますので、 一朝一夕に出来るものではありませんが、出来る事は何でもしなければいけないと考えます。海辺の 町では、アマモなど海藻を育て CO2削減に努めていますが、長野県は海なし県ですので、石油等 の消費削減とともに、土壌や樹木等で排出を抑えることを実施しなければなりません。

 ②少子化問題
 少子化問題は国家存続にかかわる大問題です。フランスやスウェーデン等の国々も日本と同様に 深刻な少子化でしたが、国家政策で切り抜け、現在、合計特殊出生率(出産可能な一人の女性 が一生に産む子供の数)は1.7から1.9弱となっています。日本は1.3(2021年)と大変に厳しい状 況です。日本の地方都市では子育て支援策を手厚くして、人口増を図っていますが、国全体から 見ればパイの奪い合いでしかありません。根本的な解決にはなっていません。少子化は社会の弱 体化を招き、行政サービスが行き届かなくなり、地域社会が不安定になります。消防団などの運営 も難しくなるでしょう。 怖いのは“ゆでガエル”同様、気が付かないうちにじわじわと力が削がれてい くことです。少子化には手厚い国の施策が求められます。地方都市独自ではできません。そのため の強い要望を地方から国に働きかけていかなければなりません。

-参考資料-
 □鹿児島県肝付町の人口ビジョン[2015年–15,664人 → 2045年-7,697人]
  *30年間で人口が半減という大変に厳しい状況ですが、これが地方都市の現状です。

 □軽井沢町の子育て関連施策
  〇18歳までの福祉医療費・1回の受診で支払う500円以外無償化(2018年)
  〇小中学校給食費無償化 (2022年) *上記2施策は人口増加を目的としたものではありません。


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